令和8年(2026年)3月10日、政府は在留手続に係る手数料の法律上の上限を大幅に引き上げる柱の一つとして、出入国在留管理を所管する入管難民法改正案を閣議決定し国会に提出しました。本稿では、特に永住許可申請に関心が高い方に向けて、公式・一次に近い情報と報道ベースの見立てを切り分けて整理します。
1. まず押さえるべき「二つの話」:2025年4月施行の改定と、2026年の法案
混同されやすいので、時系列で分けます。
- 2025年4月1日から既に施行されている改定:出入国在留管理庁は、「出入国管理及び難民認定法施行令の一部を改正する政令」に伴い、在留資格変更許可等に係る手数料の額の改定、およびオンラインで手続した場合の手数料の扱いを定める旨を公表しています。改定後の手数料は2025年4月1日以降に受付された申請に適用されます(同年3月31日までに受付された申請は、処分が4月1日以降でも改定前の額)。
- 2026年3月10日の閣議で国会提出された法案:報道によれば、在留許可に関する手数料について、法律で定めている上限額を見直す内容が盛り込まれています。こちらは国会での成立・公布、施行日の政令指定を経た段階で初めて実務に反映されます。
2. 法案(報道ベース)で議論されている「上限」のイメージ
時事通信(2026年3月10日付)など複数報道によれば、現行は「在留資格の変更許可」「在留期間の更新許可」「永住許可」のいずれの手数料も、法律上の上限がいずれも1万円にそろっている一方、改正案では次の方向が示されています。
- 在留資格の変更許可・在留期間の更新許可:上限を10万円へ引き上げる方向。
- 永住許可:上限を30万円へ引き上げる方向。
報道では、手数料の上限見直しが1981年以来であることにも触れられています。
3. 永住申請で「いくら払う」ことになるのか:上限と実額は別物
ここが実務上もっとも重要です。日本の在留手続の手数料は、法律で上限の枠を定め、その枠内で政令等により実際の納付額が定められる仕組みです。
時事通信の同記事では、現状の実額として「変更・更新は5,500~6,000円程度、永住許可は1万円」と整理され、法案成立後は「政府は外国の例なども参考に26年度中に新たな手数料を定める」とされています。
そのため、報道や解説で見かける「永住は約20万円程度」などは、あくまで政策当局が検討している目安・見込みとして読む必要があり、成立後の政令・省令で確定するまで公式な納付額ではありません。申請時期によっても変わり得ます。
4. 事業者・申請者が今すぐ取るべきアクション
- 一次情報の更新を定期確認:出入国在留管理庁の「手数料」「お知らせ」、および衆参の議案審議情報を確認し、成立時には施行日と新料金表(PDF)を必ず取得する。
- コスト試算はレンジで:上限(永住30万円)と報道ベースの目安(例:永住約20万円案)の両方をシナリオに入れ、採用・定着支援や人事制度に織り込む。
- 既に施行済みの2025年4月改定との整理:オンライン手続の料金体系などは同庁ページに沿って運用し、今回の「上限引き上げ法案」と混同しない。
出典・参照(2026年5月14日時点)
・出入国在留管理庁「在留手続等に関する手数料の改定」(2025年4月1日施行の改定内容)
https://www.moj.go.jp/isa/01_00518.html
・時事通信「在留手数料、上限最大30倍に 電子渡航認証制度を創設―入管法改正案を閣議決定」(2026年3月10日)— 閣議決定内容・上限額・現行実額・政令による今後の確定手続の説明
http://jiji.com/jc/article?g=pol&k=2026031000327
※国会審議の進捗・可決・公布・施行日は、審議状況により変動します。最新の議案審議情報は衆議院・参議院の公式サイトでご確認ください。