
中小企業のDXは、費用がかかる、人がいない、効果が見えない、の三点で止まりやすい状態が続いています。東京商工会議所が2025年1月10日に公表した「中小企業のデジタルシフト・DX実態調査」は、主に東京23区内の中小企業約1万社を対象に1,218社から回答を得ました(回答率12.2%)。講座はこの調査を引き、コスト・人材・効果の見えなさを主要な課題として整理しています。一方、生成AIの利用は広がっています。ICT総研が2026年2月20日に公表した調査(インターネットユーザー2,024人)では、直近1年以内に何らかの生成AIを使った人が1,107人、54.7%でした。前回の29.0%から25.7ポイント上昇しています。
サービス別の利用率は、全回答者2,024人を母数とし、複数回答です。ChatGPT(OpenAI)36.2%、Gemini(Google)25.0%、Microsoft Copilot 13.3%、Claude(Anthropic)4.3%、Perplexity 4.0%、Genspark 2.6%、Sora 2.3%、Canva AI 2.2%、その他0.8%。前回はChatGPT 18.3%、Gemini 8.9%、Copilot 5.4%でした。2026年5月28日公表の追加分析では、使えなくなったら「非常に困る」18.3%、「ある程度困る」40.9%、合計59.2%です。「まったく困らない」は8.9%、「わからない」は4.9%。減ったものでは検索エンジンが41.3%で最多です。SNSは23.6%、人に聞く、自分で一から調べるは各21.2%、「特に変わらない」は28.8%。講座資料ではこの設問の有効回答を208としています。今後の期待で最も多かったのは「より正確で信頼できる情報」の56.6%です。

LEVEL 1 CHAT
答える段階です。検索、要約、文章作成。人が質問し、AIが答え、仕事の進行は人が持ちます。代表は通常のChatGPTとGeminiです。
LEVEL 2 BOT
自社を知る段階です。社内資料とFAQを固定し、同じルールで答えさせます。OpenAI側はPlugins / GPTs、Google側はGems / Gemini Enterpriseです。
LEVEL 3 AGENT
仕事を進める段階です。調査、判断、アプリ操作を複数ステップで実行し、決めた地点で人の承認を待ちます。Workspace Agents、Workflow Builderがこの層です。
LEVEL 4 BUILD
道具をつくる段階です。自然言語で業務の小アプリを作り、毎日困っている穴を埋めます。基幹システムの置き換えから入らない。代表はGoogle AI Studio BuildとCodexです。
上に行くほど代行できる仕事は増えますが、責任・設計・確認も増えます。一度きりならCHAT、同じ資料とルールを繰り返すならBOT、CHATで足りる仕事はAGENTにしません。整理基準は2026年9月14日時点の公開情報です。CHATでは役割・目的・対象を同時に渡し、案を複数出させます。BOTは資料にないことを、ないと言わせます。講座時点では個人アカウントでGPTsを新規作成できず、ChatGPT SitesはEnterprise / Eduのプレビューです。
AGENTの部品は五つです。目的、情報、道具、判断、承認。動きは、調べる、考える、操作する、確認する、報告する、です。営業訪問の準備や見積の草案はAIが集め、値引きの確定、契約条件、例外、顧客への正式送信は人が持ちます。送信、支払い、契約、削除、公開、人事判断は、AIに最終決定させません。BUILDは、画面を日本語で言う、既存コードを任せる、APIで既存データにつなぐ、の三つです。公開前に、計算、空欄と例外、権限、個人情報の置き場、APIキー、バックアップとログ、保守担当の七つを見ます。

講座が挙げた本来の価値は、優秀な相談相手、提案力と営業力、顧客対応、属人化の解消です。原価管理は三歩です。第一に、どの機械で、誰が、いつからいつまで、不良が何個出たかを、月末の報告書ではなく日常の表に残します。第二に、その表をGeminiに読ませ、傾向と利益が出ていない製品を特定させます。第三に、人が値引きの変え方や工程の削減を決め、値上げ交渉の根拠に使います。
営業提案も三歩です。過去の受注と自社の新商品を文書にまとめる。Geminiに読ませ、その顧客の購買傾向から提案の叩き台を作らせる。担当者が、最近の状況と人ならではの言い方を足して出す。成約は人が担います。まだデータになっていないアンケート、お客様の一言、何を変えたかのメモほど、利益に近いことがあります。展開は内側が先です。情報検索、報告書、議事録、文書作成のあと、問い合わせ、受付、調査促進へ広げます。

四者とも対話はできます。違いは、普段の仕事のどの棚に生えているかです。料金は変わります。税込か税別か、月払いか年払いかは各社の料金ページが優先です。以下は2026年10月1日に公開ページで確認できた範囲です。ChatGPTは文章、翻訳、要約、コードに最も広く使われ、調査でも首位です。段階は通常の対話、GPTs、ChatGPT Work、Codexです。ヘルプセンターでは個人向けProが月100ドル、月200ドル、月500ドルの三段階で、500ドルにAstra Ultrafastが含まれます。Goは月8ドル、Plusは月20ドルがドル建ての目安です。日本のメディアは2026年9月時点でおよそ1,400円と3,000円と換算していました。料金ページは今回開けなかったため、円表示は契約画面を優先してください。個人プランは月額で、年払いはありません。Geminiはテキスト、画像、音声、コードを同時に扱い、Workspace、ドライブ、表計算、文書、Gmailとの連動が強い道具です。原価の表と提案の叩き台はここに乗ります。日本の公式ページでは、無料が0円、Google AI Plusが月725円(約2倍、400GB)、Google AI Proが月2,900円(約4倍、5TB)、Google AI Ultraが月14,500円(Proの5倍)と月32,000円(20倍)です。個人のGoogleアカウント向けで、会社のWorkspaceやGemini Enterpriseは別契約です。
CopilotはWord、Excel、PowerPoint、Outlook、Teamsの中で文章、検索、画像、データ分析を進めます。Web上の無料チャットは使えますが、会社の内部データは読みません。法人料金ページでは、Business PremiumとCopilot Businessの組み合わせがユーザーあたり月4,797円(年払い換算、消費税別)、Business Standardとの組み合わせが月3,523円です。追加ライセンスは定価月3,148円のところ、キャンペーンで月2,698円(年払い換算、消費税別、2026年12月31日まで)です。個人向けはPersonalが月2,130円、Familyが月2,740円で、AI機能は契約者本人だけが使えます。社内ファイルを読ませるなら法人の追加ライセンスです。Claudeは長い文章とプログラム開発に向きます。利用率は4.3%と四者では最も低い一方、長文の質で選ばれます。公式料金はドル建てで税別です。無料があり、Proは月20ドル、年払いなら200ドルの前払いで月あたり約17ドルです。Maxは月100ドルからで、Proの5倍または20倍の利用枠を選べます。TeamとEnterpriseは席数と利用量で別料金です。

生成AIは、賢い一方で自信過剰な新入社員に似ています。材料と指示が適切でも、できたものは怪しい前提で読みます。幻覚。実在しない情報を、実在するように答えることがあります。出典を開き、価格、法令、日付、調査数字は一次情報へ戻します。入力されている元情報が古いこともあります。情報漏えい。個人情報、機密、秘密保持契約の文書は入れません。会社名は「X社」、金額は「●円」に置き、公開情報だけの質問に留めます。本物の売上や原価は、学習に使わないことと管理権限が契約に書いてある企業向けプランで扱い、従業員の個人的な無料アカウントには載せません。
著作権。特定の著作の表現をほぼそのまま出す、キャラクターや物語をほぼ模倣する、実在の歌詞や楽曲を再現する、は侵害になり得ます。商用はリスクが高く、非営利でも自動的に安全ではありません。出典を書いても、引用の要件(主従関係、明確な区別、必要性)を満たさなければ違法です。生成物は自動的に自由に使える素材にはなりません。類似と盗用の確認にはCopyscape(https://www.copyscape.com/)が使えます。成果物側では、送信、支払い、契約、削除、公開、人事は人の承認を残します。
本稿は、2026年9月25日の大阪府よろず支援拠点の講座資料と、各機関の公開ページを照合した一般的な整理です。投資助言、法的助言、特定製品の推奨ではありません。料金と機能は契約画面で再確認してください。
ICT総研「2026年2月 生成AIサービス利用動向調査」(2026年2月20日)
https://ictr.co.jp/report/20260220.html/
ICT総研「2026年5月 生成AI価値実感と継続意向調査」(2026年5月28日。困る合計59.2%、検索エンジン41.3%)
https://ictr.co.jp/report/20260528.html/
東京商工会議所「中小企業のデジタルシフト・DX実態調査報告書」(2025年1月10日)
https://www.tokyo-cci.or.jp/file.jsp?id=1205203
東京商工会議所「中小企業のための生成AI活用入門ガイド」
https://www.tokyo-cci.or.jp/file.jsp?id=1204275
同所「中小企業のための生成AI活用実践ガイド」は東商会員限定で、一般公開の直リンクはありません。
デジタル庁「行政の進化と革新のための生成AIの調達・利活用に係るガイドライン」
https://www.digital.go.jp/resources/standard_guidelines#ds920
第2.0版は2026年6月12日決定
https://www.digital.go.jp/news/decb64eb-f26e-41cb-8d37-f3dd173108b8
デジタル庁「テキスト生成AI利活用におけるリスクへの対策ガイドブック(α版)」(公開URLの綴りは公式のまま)
https://www.digital.go.jp/resources/generalitve-ai-guidebook
総務省「自治体におけるAI活用・導入ガイドブック」
https://www.soumu.go.jp/main_content/000820109.pdf
総務省「生成AIはじめの一歩」
https://www.soumu.go.jp/use_the_internet_wisely/special/generativeai/
東京都「AI導入・活用ガイドライン」
https://www.digitalservice.metro.tokyo.lg.jp/business/ai/ai-guideline
熊本県「学校における生成AIの利活用について 教職員用ガイドブック」
https://www.pref.kumamoto.jp/uploaded/life/267623_825602_misc.pdf
Copyscape
https://www.copyscape.com/
ChatGPT料金(Proの三段階はヘルプセンター)
https://openai.com/chatgpt/pricing/
https://help.openai.com/en/articles/9793128-about-chatgpt-pro-tiers
Gemini日本の料金
https://gemini.google/jp/subscriptions/?hl=ja
Microsoft 365 Copilot(法人/個人)
https://www.microsoft.com/ja-jp/microsoft-365-copilot/pricing
https://www.microsoft.com/ja-jp/microsoft-365-copilot/pricing/individuals
Claude料金
https://www.anthropic.com/pricing
大阪府よろず支援拠点
https://www.yorozu-osaka.jp/
生成AIの業務導入を事業の仕組みと合わせて検討される方は、経営サポートのページもご参照ください。